王凌 彦雲(おうりょう げんうん)


姓:王
名:凌
字:彦雲
生没年(172?-251)
出身地:
并州太原郡[示β]県 親:
子:王広、王明山

王允の甥。李[人寉]郭[シ巳]らによって王允の一族が殺害されると、 幼い王凌は兄の王晨とともに城壁を乗り越えて逃げ出し、郷里まで逃れることが出来た。 後に出仕して発于の県長に任命された。ある事件に引っかかって髪を切られる刑にかかり、 道路清掃の労役にあたっていた。曹操が通りかかり、 「あの囚人は何者だ」と側近に聞き事実を知ると、曹操は王凌を取りたて、中山太守にまで昇進し、 曹操の掾(側仕えの役人)となった。

曹丕の時代には[亠兌]州刺史を務め、張遼 らと広陵まで進軍して孫権と刃を交えた。 呂範らの船が夜中の大風で岸に流れ着いたため、 これらを迎え撃ち手柄を立てて建武将軍の号を得て青州刺史に就いた。 青州の北岸部は動乱が治まらず治安が悪かったが、王凌は当地を非常によく治め、教化を行き渡らせ、 規律を取り戻したため、人民は彼のことを大いに称えた。

231年、呉の孫布が魏へ帰順を申し出た。王凌は彼を迎えたいと申し出たが、 満寵はそれが偽りの投降であることを見抜いていたため、許可を与えなかった。 王凌は満寵と以前から対立していたため、 王凌は単独で孫布を迎えに行ったが、攻撃されて七百の兵の半分を失った。

曹休の呉征伐に従軍して、負け戦となったが、 大敗せずに済んだのは王凌の働きのおかげであった。 豫州、揚州の刺史をも歴任し、軍民から慕われた。241年に侵攻してきた呉の全j を打ち破り、車騎将軍に昇進した。司馬懿は曹爽の一族を滅ぼすと、王凌を太尉に昇進させた。

王凌は皇帝が曹芳では魏はもたないと考え、 [亠兌]州刺史で甥の令孤愚と共謀して、 楚王の曹彪を許昌で即位させようという考えを持った。令孤愚は途中で病死し、 息子の王広にも諌められたが、それでも考えは変わらなかった。 251年、呉軍が徐水をせき止めると、これをチャンスと見て諸軍に非常事態を発令し、 [亠兌]州刺史の黄華の元に将軍の楊弘 を派遣して協力を要請した。 黄華と楊弘は司馬懿にこのことを密告したため、 司馬懿は中央軍を率いて王凌討伐に向かった。司馬懿は王凌の罪を許し、王広に書状を書かせて王凌を説得した。 追いつめられた王凌は自ら後ろ手を縛り、印綬と節鉞を返還した。 司馬懿は王凌の縛めを解いて彼をねぎらったが、王凌は都に送還される途中で毒を飲んで自殺した。

王凌の一族は皆殺しにされた。王凌の妹は郭淮の妻であった。 王凌が反乱に失敗すると連座して逮捕されたが、 五人の息子と配下の武将たちは彼女の命乞いを郭淮に懇願した。 郭淮も彼らを止めることが出来ず、羌族数千人も息子たちに付いて行き、彼女を取り戻した。 郭淮は自ら罪を受ける覚悟である、という文書を都に送ったため、司馬懿は郭淮を許した。 (魏書・王凌伝)

「演義」には登場せず、曹彪を担ぎ上げた話も全く触れられていない。


文武両道で内政も得意な一級の人物のように見えますが、 満寵との確執など問題点を挙げることもできます。司馬氏に対してクーデターを起こした人物として 「正史」では評価を下げなくてはならなかった、という執筆時の陳寿の立場も影響しているかもしれません。 また、対呉戦線でこれだけ活躍したのにも関わらず、何故か「演義」では完全に無視されている人物です。
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