孫権が臣下と一番美味しい魚について議論している時、介象はボラだと答えた。 孫権は「この近くで釣れる魚だ。海の魚ではない。」と言った。介象は穴を掘らせ、 自ら釣り針を垂らすと、すぐにボラが釣れた。刺し身にして食べようと言う時に、 蜀のみょうががあれば刺し身に合う、という話が出ると代金50銭を使者に渡し、 おふだを一枚書くとそれを青竹の杖の中に仕込んで、使者に目を閉じて杖にまたがり、 杖が止まったら目を開けて買い物をしろ、買い物が終われば再び杖をまたいで目をつむれ、と命じた。 使者が目を開けると市場におり、話を聞くとそれは蜀の市場だと言う。 張温はたまたま蜀に使者として赴いていたが、 市場でその使者に出会うと驚いてその場で手紙を書き、 持っていくよう命じた。使者は買い物を済ませ再び杖にまたがって目を閉じた。 次の瞬間、使者は孫権の宮廷にみょうがと張温の手紙を持って戻っていた。 刺し身はちょうど出来上がるところであったという。 (呉書・趙達伝)